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二つのひまわり・・・二つの太陽 リリア・アダモーワ(女・16歳)

二つのひまわり・・・二つの太陽 リリア・アダモーワ(女・16歳)
 ピンスク職業技術学校生徒 織物訓練生

 1986年の夏のことだ。夏休みの前に、レニングラードに住んでいるおばさんから電話があった。彼女は興奮し泣きながら、「ベラルーシ人はみんな死ぬんだってここでは言われているの。一か月でもいいから子どもたちを私のところに送りなさい」と言った。父は休暇をとり、私と弟をレニングラードのおばさんの所に連れて行った。私たちは近くの同じ年頃の子どもたちとすぐに仲良くなった。そこでの生活は本当に楽しかった。しかし、ある日、弟とボール遊びをしていると、何人かの男の子たちが近づいて来て、私たちを指さして、笑いながら言ったのだ。

 「やーい。チェルノブイリの坊主頭。暗闇でも光ってる」

 私たちは彼らと一緒に自分たちを笑うべきか、彼らに腹を立てるべきなのかわからなかった。ただ、私たちの心が傷ついたのは確かだ。私たちは、自分の罪が何なのかわからなかった。自分たちが犯罪人に思えた。そんなことがあって、私たちは外で遊ぶことが少なくなった。家に手紙を書いて、早く私たちを連れて帰ってと頼んだ。

 新学年になると、子どもたちの中に、頭痛が始まり、失神したり、気分がわるくなったりするものが出てきた。その原因はただ一つ、放射能だ。

 その一年後、私の家庭に不幸が訪れた。

 母はゴメリ州出身で、親戚はみんなそこに住んでいる。そこのコスチュコフカから、コーリャおじさんが死んだという最初の訃報が届いた。その8か月後、次はダーシャおばさんが死んだと便りがあった。また、放射能が原因であった。

 ホイニキには母のいとこが住んでいるのだが、彼女から「病気がちなので、ホイニキに来て欲しい」という手紙が届いた。母は私を連れていくことをためらったが、私が母を説得した。

 私たちは、ホイニキに行った。この町については、たくさん語られ、書かれている。たぶん、以前は美しい町だったのだろう。いまではあちこちに打ち捨てられた家がある。窓は釘づけされ、庭はイラクサやアカザの雑草が茂っている。涙なしには見られない。窓を十字に板を打ち付けられた家は、「みんなどこにいるの。帰って来て。この家に住んで。待ってるのよ」と叫んでいるようだった。

 もうこの土地では、子どもの笑い声は聞けないのだろうか。疲れた旅人を夏の暑い太陽から守る大きな木は生えてこない。打ち捨てられた一軒の家の雑草の中で2本のひまわりが2つのおひさまのように立っているのが、突然、私の目に飛びこんできた。

 2つのひまわりのくきは細く、花は太陽に向かっていた。それはまるで生命に向かって立っているようだった。よりよいものを求める希望の光に見えた。私は確信した。「すべてが失われたわけではないのだ。ここには生命が戻って来た。私も力を取り戻さなくては」と。

 母はいとこに、私たちの所に来るように説得した。しかし、おばさんは断った。でも今では、おばさんの子どもたちが夏休みにはうちに来るようになった。

 ホイニキには数日しかいなかったが、そこで見たものすべてが、忘れられないものになるだろう。

 ホイニキへの旅の後でさえ、私は、事故が私たちに与えた不幸について完全には認識していなかった。

 すべての苦しみ、すべての損失がわかったのは、「チェルノブイリの子どもたち」というテレマラソンを見てからだった。私はテレビのそばを離れることができなかった。恐ろしくなり、枕に顔をうずめ、何も見たくなかった。母は一日中泣いていた。しかし、人間はすぐに慣れてしまう。8年もたつと、そんなに怖くはなくなる。

 人間には、いつも希望が必要である。最後まで残るのが希望である、というのはいいことだ。

 テレビや新聞で、将来どうなるのかがよく報道される。わたしは「そうじゃない。命が戻ってきているのを、知っているし、信じている」と大声で叫びたくなる。

 私はまだ16歳だ。私の望みは、まだかなってはいない。チェルノブイリの事故の黒い翼が、私をおそったことを考えると恐ろしい。私の人生はこれからだ。私に子どもができる。彼らはどうなるのだろう。私は気分が悪い。いつもめまいがする。でも、私は、人生はとどまることがないことを、希望し、信じて生きる。


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子供たちのチェルノブイリ

Author:子供たちのチェルノブイリ
昔、こどもたちのチェルノブイリの作文集を選ぶボランティアをしました。この時の衝撃は今も心に残っています。
 連絡先
 ohanamoon@gmail.comまで

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