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ベラルーシにかぶさる黒い雨雲 スベトラーナ・フボロスチェンコ(女・15歳)

ベラルーシにかぶさる黒い雨雲 スベトラーナ・フボロスチェンコ(女・15歳)
 第一中等学校9年生 バラノビッチ町

  エコロジーは人間と環境の相互関係についての科学である
    ―教科書より―

 チェルノブイリ。この昔からある町の名にすでに何か暗い予言が含まれているようだ。ある「ブイリ」(※)があった。しかし、残念なことに、チェルノブイリは昔の英雄叙事詩ではなく、過去でもなく、現在の悲しみ、苦しみ、痛み、そして涙の話なのである。


※ブイリ
 出来事。

 この悲劇の土地では、すべての家、木々、植物など人々の思い出に残っている全てのものが土になってしまった。死んだゾーンだ。死んでしまったのだ。そこはもちろん強制移住地域(※)とは大きな違いがある。そこは、今はだれも面倒をみていない家や、庭や、菜園が残っているのだ。しかし、ある村ではまだ生きている人間に会うことができる。これは戻ってきた人々で、自分が育ち、愛し、夢を見、子どもや孫を育てたふるさとの村から離れていては生きていけない人々である。彼らの目をみると、目の中にあるものを長いこと忘れることができなくなるだろう。

※強制移住地域
 チェルノブイリ原発から半径30キロ内に住む人々は強制的に移住させられた。30キロ以外でも、1平方キロ当り四40キュリー以上の汚染地は、強制移住地域である。

 私は別の町に移り住んで2年になる。以前は60キロゾーン内に住んでいたが、そこからはすべての家族が立ち退いた。私は、ピオネールに入ったときのことを覚えている。私たちのピオネール隊に、同郷の消防士でチェルノブイリ原発の事故処理に参加したワシーリ・イグナチェンコという名前をつけることに決めた。ある日、彼の母が病院のワシーリを訪ねた時、彼は母親に泉の水をくんでくるよう頼んだ。ワシーリは、その水がチェルノブイリで汚染され、もう誰も飲んでいないのを知らなかったのだ。

 ワシーリの母親タチヤーナ・ペトロービナは町の美術館で働いていて、すばらしい絵についてたくさんおもしろいことを話してくれたが、チェルノブイリの悲劇をテーマにしたホールでは、彼女は何も言えなかった。しばらくして亡くなった息子の胸像が展示されるようになった。

 チェルノブイリのことが話題になると、私は事故直後の状況を記録した映画を思い出す。原発の職員が住むプリピャチの町から人々が立ちのかされている時、小さな男の子がはぐれ、ただ一人残された。男の子は町をさまよい歩き、母親を探しまわった。彼にはなぐさめてくれ、落ち着かせてくれる母親が必要だった。けれど、まわりには誰もいない。置き去りにされた子猫を見つけ、胸に抱いて、一日中町を歩いた。その日の夕方、男の子は、放射能を致死量(※)被爆し死んでしまった。


※致死量
 人体が死に至るほどの放射線の量。人間の場合、600レントゲンの放射線を一度に受けると100%死亡すると言われ、これを100%致死線量、400レントゲンでは50%死亡するとされ、これを50%致死線量という。

 ある日、チェルノブイリについての展覧会で、一枚の絵が私を動揺させ、長いこと忘れられなかった。その絵では、美しい少女が穏やかな青い海にいて、その少女の頭の上には黒い雷雲がかかっているのである。画家は私のベラルーシを描いたのではないかと思われる。彼女は、輝かしい幸せな岸辺にたどり着くことができるのだろうか。
 私の国の歴史には黒いページは少なくない。その中で最も悲しいできごとは、たぶんチェルノブイリであろう。

 P.S. 私のことについて少し書きます。私は15歳です。ブラーギンに生まれ、1992年までそこに住んでいました。その後、家族全員でバラノービッチに引っ越してきました。チェルノブイリについての作文コンクールのことをテレビで知り、私も何か書かなければという衝動にかられました。この悲劇が私の家族だけでなく、多くの、多くの人をおそって不幸にしたのを知っているからです。

 私はこのコンクールに感謝しています。チェルノブイリで心が傷ついた子どもたちに、自分の悩みとチェルノブイリに関することを吐露する機会を与えていただいたことはとてもいいことだと思います。


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子供たちのチェルノブイリ

Author:子供たちのチェルノブイリ
昔、こどもたちのチェルノブイリの作文集を選ぶボランティアをしました。この時の衝撃は今も心に残っています。
 連絡先
 ohanamoon@gmail.comまで

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